お知らせ

2023.11.14 住所・氏名等変更登記の義務化

不動産を取得し登記した後、引っ越しや婚姻などの理由で、住所・氏名等を変更するといった場合、役所に住所・氏名等の変更を届け出ただけでは、法務局の登記簿上の住所・氏名等は当然には変更されません。この住所・氏名等の変更ついて、変更があった日から2年以内に変更の登記申請をすることが義務化となります。施行は令和8年4月1日となります。複数の不動産を所有している場合や実家の不動産を相続したような場合、自身がお住まいの不動産については気が行き届くけれど、それ以外の不動産については、うっかりと漏らしてしまうこともありがちでは?今一度、ご自身がお持ちの不動産についてご確認してみてはいかがですか?
なお、この規定は遡及効があるため施行前に住所・氏名等を変更した場合でも変更登記が必要となることに注意が必要です。

2023.08.10 夏季休業のお知らせ

休業日を下記の通りとさせていただきます。
2023年08月11日(金)~2023年08月17日(木)
ご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。

2023.07.20 遺言書作成の勧め

新型コロナウイルス感染の脅威はまだ落ち着かない状況ではありますが、最近相続登記のご依頼の中で増えてきているのが子がいないケースです。
子がいない場合、直系尊属や兄弟姉妹に相続が及ぶ事があります。
その場合相続人の特定や相続証明書の取得(戸籍謄本等)など複雑になるケースが多いです。
また、何年も疎遠になっている兄弟姉妹や一度も会ったことがない兄弟姉妹の子等と遺産についての協議をする必要があることから、お困りというケースが多いです。そこで、あると助かるのが遺言書の存在です。
遺言書を作成しておけば、遺言者本人に相続が発生した場合、残された配偶者は遺言書にしたがい手続を進めることが出来るのです。
自己の亡き後、配偶者の負担を少しでも減らしたいとお考えの方は是非遺言書について今一度考えてみてはいかがでしょうか?

2022.12.26 年末年始休業のお知らせ

休業日を下記の通りとさせていただきます。
2022年12月29日(木)~2023年1月4日(水)
ご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。

2022.10.27 遺留分減殺請求権(物権的権利)から遺留分侵害額請求権(債権的権利)へ

何が変わったのか?条文(旧民法第1031条と新民法第1046条)等をじっと眺めれば理解できるかもしれません。確かに名称は変わりました。そこで、具体的に何が変わったのか簡単に説明します。
相続財産が不動産の場合、改正前相続法では遺留分減殺請求として、実務上、権利者は民法で決められた持分を物権的に取得するのが原則でした。その結果、不動産は共有状態になり、共有物分割等の手続等が必要でした。持分価格の金銭による支払いは例外でした。
今回の民法改正(令和元年施行)では、遺留分侵害額請求とし、単に、金銭債権を発生させる請求権として定義されました。
その結果、新法の「遺留分侵害額請求」では、持分価格の金銭による支払いを請求することになりました。仮に、相手方に支払い能力がない場合は分割での支払い、または、代物弁済として当該不動産の持分を取得することはあるでしょうが、あくまで金銭の支払いが原則になります。時代の流れと共に、原則と例外が入れ替わたのです。

2022.10.14 遺言書には必ず遺言執行者を定める必要がありますか?

遺言者所有の不動産を、遺言者が生前に売買、贈与、交換等の契約を結び、それらの登記申請を完了しないまま、つまり、登記名義を相手方に変更しないまま、亡くなってしまうことが希にあります。
これらの場合、遺言者の相続人全員が登記義務者となり、遺言者名義の不動産を相手方に移転しなくてはなりません。
先日の相談では、遺言者が所有するA土地とPさんが所有するB土地の交換契約を締結し、B土地は遺言者名義に変えられていたのですが、なぜか、A土地はPさん名義に変更する登記申請をしないまま遺言者が亡くなっていました。
さらに不運なことに、遺言者の相続人の一人が行方不明で、遺言者の相続人全員が登記義務者となる登記申請はすぐにはできない状態でした。
このような場合でも、遺言執行者を定めていれば、遺言執行者が遺言者の相続人全員に換わって登記義務者になり、PさんにA土地の名義を変えることができます。
もちろん、遺言執行者の定めのない遺言でも、後に、遺言執行者選任の審判を申立てることは可能でしょうが、当初から遺言執行者を定めていた方が便利です。

2022.06.24 価格100万円以下の土地の相続登記免許税が非課税に!

今年の令和4年3月31日までは、租税特別措置法第84条の2の3第2項の以下の旧条文「当該土地がこれらの登記の促進を特に図る必要があるものとして政令で定めるものであり」かつ、不動産価格が10万円以下の土地について、その土地の利用促進のため相続登記の登録免許税を非課税するとなっていたものが、令和4年4月1日からは、上記太字部分が削除され価格10万円以下が価格100万円以下に変更になったもので、その結果は、令和7年(2025年)3月31日までに受付ける相続による所有権移転登記と所有権保存登記に限り、無条件で土地価格100万円以下の場合は、登録免許税を非課税とする。となったものです。

思うに、2011年の東日本大震災以降、津波による被害が多かった海岸付近の民有地を高台へ移転する交換事業、原発による汚染物質をとりあえず保存する中間貯蔵施設等に利用する民有地の買上げ等の国策としての民有地購入事業を進めるため、それらの対象土地の所有者を調べてみたところ、多くの土地で、明治時代から昭和の旧民法時代の所有名義のまま放置され相続登記がなされていない状況が露呈しました。さらに新民法下での原則、配偶者とその子供がすべて相続人となる分割相続が生じ相続人の数は多数に上りました。そして、それらの土地名義人の相続人を探すのは戸籍を集める必要があり、簡単ではありません。 全国の法務局と司法書士会の協力の下、最終相続人を探しというプロセスが考えられました。その間、全国的の相続登記未了の土地面積が「九州全土」より広い地域になるらしい。というような情報も飛び出しました。

国は来たるべき大地震対策として、同じ過ちを繰返さないためにも、一筆の土地の相続登記を放置しない必要に迫られているのです。そもそも権利の登記は当事者に申請の自由が保証されていましたが、この方針を転換したのです。しかし「義務なら少なくとも税金は課すな!」という意見を考慮して、ソフトな導入段階にしようとする意向が見え隠れする政策だと思います。ならば少なくとも当初は、土地価格に無関係で土地の相続登記全般に適用してもらいたいところです。

2022.06.23 ご存じですか?相続預金の払い戻し制度

相続が生じた時、基本的に亡くなった方の金融口座は凍結されてしまいます。
死後、葬儀費用、病院費用等支払いに困ってしまったと言われることがあります。
そんな時に遺産分割協議前でも各相続人は単独で相続預金等の払い戻しできる制度があります。
知っておくと便利な制度です。

各相続人が払い戻し出来る金額(金融機関ごとに利用できます。)
             
 相続開始時の預金額 × 1/3 × 法定相続分 = 払戻出来る金額 ①
             
①と150万円(上限金額)のうち金額が低い方 = 実際に払戻出来る金額

【例】
   相続人が配偶者と子1人の場合  A金融機関(預金額600万円)
  子が単独でA金融機関から払戻できる金額。
  600万円 × 1/3 × 1/2 = 100万円・・・①
  100万円 < 150万円

  よって、子はA金融機関から100万円の払戻しをすることが出来ます。

この制度を利用することで、落ち着いた頃合いを見計らってから遺産分割手続を進めることも可能ですね。

2022.06.14 遺言書を作成する

最近、「遺言書を残したい」のだがという、相談が増えてきています。そこには、相続人間の権利の調整を生前にしておきたい。とか、最期まで自分の面倒を観てもらいたい相続人に、財産を厚く残したい。とか、あるいはある推定相続人には、遺産を残したくない。とか、配偶者に自宅(不動産)と金銭を残したい等、様々な思惑が交差しています。人それぞれ思惑があり、どの方法が依頼者の要望に最も適切かを判断するのが大切であり、専門職能の腕の見せ所といったところです。それでは、制度の概観をしてみましょう。
遺言の方式は下記のように普通方式と特殊な状況での特別方式があります。普通方式の遺言でよく利用されているのは、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。自筆証書遺言は遺言者一人で民法の要件を満たしている遺言を作成すれば、とりあえずそれで完成したといえます。しかし、実際に遺言の執行をするためには家庭裁判所の検認が必要になります。公正証書遺言は、公証役場にて証人2名の面前で遺言者が内容を公証人に申述しその内容を公証人が公正証書として遺言を作成するものです。検認なしですぐ執行できます。
そして自筆証書を法務局で保管する方法で、遺言を残すと、その自筆証書遺言は公正証書遺言のように遺言の存否が検索可能になり、また、検認不要で執行できるといった特性を持っています。ただ、便利である反面、法務局が保管している遺言書を推定相続人等の一人が閲覧・交付した場合、他の推定相続人等全員に法務局が遺言書を保管している旨が通知されます。
(重要な相違点)
遺言の執行にあたり、自筆証書遺言は検認と法務局保管の遺言の閲覧・交付によって、すべての推定相続人に遺言の存在が通知されます。一方、公正証書遺言は、それがありません。

遺言について(民法第960条~)
・遺言を残せる年齢(民法第961条)・・・満15歳以上の意思能力のあるもの
・普通方式と特別方式がある
1.普通方式の遺言
① 自筆証書遺言(民法第968条)
 要件を満たせば簡単に作成可能
      → 遺言者死亡後、遺言書を執行するためには、家庭裁判所の検認が必要
                   ⇅
 自筆証書遺言を法務局で保管(法務局における遺言書の保管等に関する法律
                   令和3年9月1日施行)
                   → 自筆証書遺言の公正証書遺言化?

② 公正証書遺言(民法第969条)・・・公証役場で公証人が作成する遺言
 → 遺言書の死亡後、検認不要で執行できる

③ 秘密証書遺言(民法第970条)・・・利用するメリットは少ない

2.特別方式の遺言(民法第976条~第984条)
・様々な場面での、様々な方式の遺言が定義されています

2022.02.15 民法改正 成年年齢について

私たちの国における成年年齢は、明治9年以来、20歳とされています。近年、選挙における国民投票の投票年齢や、公職選挙法の選挙年齢が18歳と定められ、18歳、19歳の方を大人として扱うという政策が進められてきました。そして成年年齢を18歳に引き下げることを内容とする「民法の一部を改正する法律」は2022年4月1日から施行されます。成人式は各市町村の対応によって、18歳だったり20歳だったりするようです。
① 成年年齢の引き下げによって出来るようになること。
・一人で有効な契約をすることができる
・父母の親権に服さなくなること
② 成年年齢の引き下げによっても出来ないこと。
・お酒やたばこ及び公営競技(競馬、競輪、オートレース等)については従来どおり、20歳になるまでは制限されます。

関連して
婚姻年齢について
  婚姻のできる年齢は男18歳、女16歳とされていましたが、男女ともに18歳となります。
成年擬制について
  20歳未満の婚姻をした男及び女は成年したものとして扱われていました(お酒やたばこ等については制限があります)。今回の改正により、この成年擬制が実質的になくなることになります。

2021.10.14 年末年始休業のお知らせ

休業日を下記の通りとさせていただきます。
2021年12月29日(水)~2022年1月5日(水)
ご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。

令和3年度の休眠会社等の整理(みなし解散)について(法務省)

1.最後の登記をしてから12年を経過している株式会社または最後の登記をしてから5年を経過している一般社団法人若しくは一般財団法人は、事業を廃止していないときは、「まだ事業を廃止していない」旨の届出を管轄登記所にする必要があります。

2.公告日(令和3年10月14日)から2か月以内(令和3年12月14日(火)まで)に「まだ事業を廃止していない」旨の届出がなく、また、必要な登記(役員変更登記等)の申請もされないときは、令和3年12月15日(水)付で解散したものとみなされます。

相続登記の義務化(3年以内に施行)

2011年3月11日東日本大震災が発生し東日本の太平洋岸は甚大な被害を被りました。
その一つは津波によるもので、原発をも飲み込み甚大な被害が発生しました。東北地方はこれまでも震災により度々被害を受けていたようですが、年月がたち人々から災害という記憶が薄れるにつけ、高台から漁業等に便利な海岸際への移住が進み、そして過去にない規模の大震災が起きてしまいました。この結果、行政は海岸際住民土地と高台の土地を交換するべく土地所有者の確認を始めたところ、過去何代に渡り相続登記未了や所有者が不明な土地があることが分かり高台への移転がスムーズに行かないことが判明しました。そこで、政府は「所有者不明土地問題」として現状を把握した後、法務省の審議会である「民法・不動産登記法」部会を招集し、意見を求め、相続登記の義務化を実現しました。相続登記の義務化の法律は、令和3年4月28日の改正法の公布より3年以内に施行されます。内容によっては2年、5年以内に施行されるものもあります。以下はその内容です。

1.相続登記を法定期間内にしなければならない。(相続登記の義務化 不動産登記法第76条の2)
(要件)不動産の所有権登記名義人について
① 自分のために相続の開始があったことを知り
          かつ 
② その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続による所有権の移転登記を申請しなければならない
・知った時から3年という起算点の意義は、過失により知らなかった場合
・また、気づかなかったことについて、相続人に落ち度があっても3年は
進行しない ⇔ 申請を怠ったときは、10万円以下の過料(不動産登記法第164条)

2.相続登記の義務化が問われる具体的な場面
・特定財産承継遺言による権利変動の移転登記の義務化
・相続人に対する遺贈に伴う権利変動の登記の義務化
・遺産分割による権利変動を公示する登記の義務化
         ⇅
相続人申告登記(不動産登記法第73条の3)
・相続による所有権の移転登記を申請する義務を負う者は、登記官に対し、所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出ることができる。
具体的には、単に申出人が法定相続人の一人であることが分かる限度での戸籍謄抄本を提供すれば足りる。
         ↓
相続人である旨の申出をした者は、相続人は、義務づけられている相続登記の義務を履行したものとみなされる。
         ↓
登記官は、この申出があったときは、職権で、その旨ならびに当該申出をした者の氏名
及び住所などを所有権の登記に付記することができる。

相続法改正(2019年以降施行分)

今回の相続法の改正目的は1980年に配偶者の法定相続分が3分の1から2分の1へ引き上げられ、寄与分制度が新設された後の約40年ぶりのことで、その間の社会情勢の変化、特に長寿社会の実現、少子高齢化社会出現に対応するために各変更がなされたものである。

1.配偶者の居住権を保護するための方策
  1)配偶者短期居住権の新設 新民法1037条~1041条
  2)配偶者居住権の新設 新民法1028条~1036条

2.遺産分割等に関する見直し
  1)配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示推定規定)新民法903条4項
  2)遺産分割前の払戻制度の創設等 新民法909条の2
  3)遺産の分割前に遺産に属する財産を処分した場合の範囲 新民法906条の2

3.遺言制度に関する見直し
  1)自筆証書遺言の方式緩和 新民法968条
  2)遺言執行者の権限の明確化 新民法1007条、1012条~1016条
  3)法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設 遺言書保管法(R2.7.10施行)

4.遺留分制度に関する見直し 新民法1042条~1049条

5.相続等の効力等に関する見直し 新民法899条の2

6.相続人以外の者の貢献を考慮するための方策 民法1050条の創設

相続税の基礎控除額について

平成27年1月1日以降に相続が開始した場合の相続税の基礎控除額は、現行の基礎控除額の4割カットとなります。平成26年12月31日までに相続が開始した場合には、現行の基礎控除額が適用されます。
 例えば、配偶者が亡くなり、相続人が配偶者と子供2人の場合、原則の基礎控除額は下記のようになります。

 現行   5000万円+1000万円×3 (相続人の数)=8000万円
 変更後 3000万円+ 600万円×3 (相続人の数)=4800万円

 また、基礎控除額の4割カットに合わせて税率や控除額も変更されるようです。

 ※なお、具体的な税額については、税務署等にご確認願います。

非嫡出子の法定相続分の改正

結婚していない男女の間に生まれた非摘出子(婚外子)の遺産相続分を摘出子の半分と定めた民法第900条4号但書の規定が、法の下の平等を保障した憲法に違反するかが争われた2件の家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷は、平成25年9月4日、規定を「違憲」とする初判断を示しました。14裁判官全員一致の結論です。

なお、この規定を前提に裁判や当事者の合意などですでに確定的となった他の遺産分割については、今回の違憲判断は影響を及ぼさないとしているようです。

一方、平成13年7月1日以降にこの規定を前提にして法定相続登記をした事案については影響が及ぶと考えられる為、今後どのような取扱いになるのか注目していきたいと思います。